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ITコーディネータとは?経営とITをつなぐ役割と本質

ITコーディネータとは、どのような人なのだろう。

一般には、「経営とITをつなぐ専門家」と説明される。

 

システムの導入を支援する人。

経営者とITベンダーの橋渡しをする人。

デジタル化やDXを進める人。

 

どれも間違いではない。

 

けれども、実際の役割はもう少し広い。

ITコーディネータが見ているのは、ITだけではない。

ITコーディネータとは?経営とITをつなぐ役割と本質|株式会社アイ・ケイ・シー

企業がどこへ向かおうとしているのか。

顧客に、どのような価値を届けようとしているのか。

そのために、経営、事業、業務、人材、データ、ITをどう結びつけるのか。

そして、変化の中で、どのように判断し続けるのか。

 

ITの知識を使いながら、考えているのは企業経営そのものに近い。

 

おそらく、ITコーディネータの本質は、

導入するシステムの選び方よりも、企業の状況をどのように捉え、何を基準に判断するかに表れる。

ITではなく、経営と価値から考える

企業から「新しいシステムを導入したい」と相談されることがある。

そこで、すぐに製品の比較を始めることもできる。

機能、価格、操作性。

比較する項目はいくつもある。

 

けれども、その前に考えたいことがある。

なぜ、そのシステムが必要なのか。

解決したい経営課題は何か。

顧客にどのような価値を届けたいのか。

 

ITを導入すること自体が、企業の目的ではない。

経営目標を達成する。

顧客の課題を解決する。

事業を持続させ、企業を成長させる。

そのためにデータとITを使う。

 

順番を間違えると、システムは導入できても、経営や業務はほとんど変わらない。

 

ITコーディネータは、ITに詳しいからこそ、ITから考え始めないのだと思う。

一部分ではなく、全体のつながりを見る

売上が下がった。

作業時間が長い。

ミスが多い。

会議で決めたことが実行されない。

 

企業の中では、さまざまな問題が起きている。

 

ただ、目の前に現れた事象を、そのまま問題や原因と決めつけることはできない。

 

売上の低下は、営業担当者の努力不足ではなく、市場や顧客行動の変化によるものかもしれない。

作業の遅れは、担当者の能力ではなく、前工程から必要な情報が届かない仕組みに原因があるのかもしれない。

会議で決めたことが進まないのも、意識ではなく、役割や意思決定の曖昧さが関係しているかもしれない。

 

経営、事業、業務、人材、データ、IT。

 

これらは別々に存在しているわけではない。

どこかを変えれば、ほかの部分にも影響が及ぶ。

 

一つの部門だけを効率化した結果、別の部門の負担が増えることもある。

新しいITを導入しても、業務の流れや役割が変わらなければ使われないこともある。

 

一部分だけを見て答えを出さない。

全体のどこで、何がつながっていないのかを見る。

 

それがITコーディネータの基本的な視座なのだと思う。

複数の価値を行き来する

顧客が喜ぶサービスなら、実施した方がよい。

 

そう考えたくなる。

しかし、顧客に喜ばれるだけでは、事業として続かないこともある。

 

提供するほど赤字になるかもしれない。

現場へ過度な負担がかかるかもしれない。

利益が出ても、企業理念や中長期の方向性と合わない場合もある。

 

顧客にとって価値があるか。

事業として持続できるか。

企業の成長につながるか。

社会から求められる方向と調和しているか。

 

一つの価値だけで判断するのではなく、顧客価値、事業価値、企業価値、社会価値のつながりから考える。

 

効率が上がるから実施する。

新しい技術だから導入する。

それだけでは、判断として十分ではない。

 

何のために行うのか。

その企業が取り組む意味はどこにあるのか。

 

ITコーディネータは、その問いを置き続ける。

正解を決め切らず、仮説を動かす

変化が速い時代に、最初から正解を決め切ることは難しい。

 

十分な情報が集まるまで待っているうちに、状況が変わることもある。

動いてみなければ、得られない情報もある。

 

そこで、まず仮説を置く。

 

小さく実行する。

結果をデータで確かめる。

必要であれば、仮説や施策を修正する。

 

新規事業なら、いきなり本格的な仕組みを作らず、試作品を顧客に使ってもらうことから始めてもよい。

業務改革なら、全社導入の前に、一つの部門で試す方法もある。

AIについても、新しいから導入するのではない。

 

どの業務で使うのか。

どのような価値につなげるのか。

必要なデータはそろっているのか。

 

仮説を置き、現場で確かめる。

 

期待した結果が出なかったとしても、それだけで失敗とは限らない。

 

仮説が違ったのか。

対象が違ったのか。

検証方法が適切でなかったのか。

 

得られた情報を次の判断へつなげられれば、試行には意味がある。

戦略と現場、異なる立場をつなぐ

経営者は、経営の方向性を見る。

現場は、日々の業務や顧客の反応を見る。

開発する人は、仕組みを作る。

運用する人は、安定して使い続けられる状態を守る。

 

それぞれの立場で、見ているものが違う。

使う言葉も違う。

 

経営が決めた戦略が、現場の実行につながっていないことがある。

 

一方で、現場に重要な気づきがあっても、経営判断まで届かないこともある。

 

その間をつなぐことも、ITコーディネータの役割になる。

 

経営の方針を現場で実行できる形にする。

現場で得られた情報を経営へ戻す。

 

異なる意見を整理し、共通の言葉で対話できるようにする。

 

戦略を決めてから実行するという一方向の流れではない。

 

戦略と実行を行き来しながら、より妥当な判断へ近づいていく。

 

そこには、経営と現場の両方を見る視点が欠かせない。

企業が学び、変わり続けられる状態へ

優れた施策を考えても、企業の現在地に合わなければ実行できない。

 

人材が足りない。

データが整っていない。

部門間の連携が弱い。

失敗を避けようとする意識が強い。

 

そのような状態で、大きな変革を一度に進めれば、現場は混乱する。

 

だから、組織の身の丈を見る。

今の状態で、どこまで実行できるのか。

何を先に整えるべきか。

誰が担えば動かせるのか。

 

少し背伸びをすれば届くところから始める。

 

実践を通じて、人が育つ。

対話やデータに基づいて判断する経験が蓄積される。

個人の気づきが言葉になり、組織の知識として共有される。

 

すると、次に選べる施策や戦略の幅も広がっていく。

 

ITコーディネータの仕事は、一つのシステムを導入して終わるものではない。

 

企業が事実を整理する。

全体のつながりを捉える。

仮説を立てる。

小さく実行する。

結果から学び、次の判断へつなげる。

 

その繰り返しを支えることに、本質があるのだと思う。

 

ITコーディネータとは、経営、事業、業務、人材、データ、ITを一体で捉える人。

異なる立場の人をつなぎ、対話を生み出す人。

そして、変化の中で企業がより妥当な判断へ近づけるよう、ともに考える人。

 

技術の知識だけでは説明できない何かが、そこにはある。