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ITコーディネータのメリットとデメリット


 これは、2012年の独立開業後の8年間の実績に基づく個人的な見解です。

 

 先日開催した「ITC試験&ケース研修ガイダンス」の参加者の方から、ITコーディネータ資格の取得を検討しているが、ITコーディネータのメリットとデメリットを教えて欲しいと質問を受けました。

 そのガイダンスの参加者にお話しした内容を、折角だから多くの方に知っていただこうと思い記事にしました。

ITコーディネータ資格を取得するメリット

 

(1)自身の経営とITについての知識・スキル・専門性の向上

 

 資格の取得前にITコーディネータ試験の学習やケース研修で学ぶことにより、「経営者にITを活用した経営改革に取り組む気付きをもたらし、その上で経営戦略策定からIT活用までの『経営にITを活かす考え方と手順』」を習得できます。

 

 ITコーディネータ試験やケース研修の学習により習得できること

  1. 経営的な視点でITの活用・効果を考えられるようになる。
  2. 問題解決能力がレベルアップする。
  3. プレゼンテーション能力が向上する。

 

(2)企業内での活躍の場の拡大 

 

 社内プロジェクトへの抜擢やプロジェクト・リーダーとして活躍の場が広がります。 

 例えば、 会社はあなたに次のようなことを期待していますねぇ。

  • 企業統合のための円滑なシステム移行の実現
  • コンサルティング営業部門の強化・拡充で顧客獲得
  • グループ会社間の壁を取り除き新たな企業風土を創出
  • 顧客の立場に立った継続的な提案の実現
  • 営業担当が中堅・中小企業のCIOとして活躍
  • 経験や勘に頼らない普遍的な手法を考案 など

 

 さらに、ITコーディネータの知識・スキルは次のようなことに活かせます。

 

 ≫経営企画職、システム企画職の方

  • より確かな情報システム戦略・企画を考案する。
  • ITをもっと活用したビジネス展開の企画を考案する。
  • 情報システムを今の事業に見合うように見直す。
  • 情報セキュリティ対策を強化する。

 

 ≫情報処理サービス業の営業職の方

  • 超上流のアプローチ法の基礎を学び、営業に活かす。
  • 社外のITコーディネータと連携して営業力を強化する。
  • お客様のキーマンの心を掴んでお客様に密着した支援の展開する。

 

 ≫公共団体のシステム企画職の方

  • 公共サービスを提供するために求められるITを調達する推進役になる。

 

 ≫経営コンサルタントとして独立を考えている方

  • コンサルティング手法を総合的で実践的な確かなものにする。
  • ITコーディネータとの連携を営業力強化の武器にする。

 

(3)ダブルライセンスで価値のより高い情報やサービスの提供

 

 ダブルライセンスの結果、ひとつの職場で複数の関連業務を担ったり、価値のより高い情報やサービスを顧客に提供できるようになります。特に中小企業の場合は、複数の業務を兼務できる人が重宝されるため、あなたに期待を寄せます。

 また、ダブルライセンスは、副業や独立開業にも有効な手段です。

 

 ダブルライセンスの組み合わせは無限に広がります。

  • ITにも強い中小企業診断士
  • ITもわかる税理士
  • ITもわかる公認会計士
  • 経営にも強い技術士
  • ITにも強い医業経営コンサルタント
  • 経営もわかるITスペシャリスト
  • 経営もわかる情報処理安全確保支援士
  • 経営者と話ができるプロジェクトマネージャ
  • 経営もわかるシステム監査技術者
  • ITにも強い公認内部監査人
  • 経営もわかる公認情報システム監査人
  • 経営と業務に強いISMS審査員
  • 経営とITもわかる社会保険労務士
  • 経営もわかる上級ウェブ解析士

    など、ダブルライセンスをお勧めします。

 

ダブルライセンスにより、ITコーディネータの資質に一段と磨きがかかります。

  • あらゆる情報化投資に応えられるだけの広く深い専門知識と、それを使いこなすことができます。
  • 企業などの経営戦略の策定やITシステムの導入・運用までトータルにコーディネートすることができます。
  • 企業に合ったビジネスモデルを構築し「どうすれば儲かるのか?」など経営者目線の立場に立って適切なアドバイスをおこなえます。
  • システムの専門家だけではできない経営面もサポートが可能で、経営者の希望する環境作りを実践し、経営戦略の実現に向けたアドバイスをおこなえます。

ITコーディネータは、このように広い視野と企業の経営課題に応えるために、経営とシステムの両面から企業を支えるための知識が必要な資格です。 

 

(4)ビジネスチャンスを創出できる

  

 副業や独立開業を考えている方には大きなメリットです。
 資格を取ったからといって、すぐに仕事が来るわけではありませんが、ITコーディネータ資格を取得することにより仕事の幅が広がり、ビジネスチャンスを作れます。

 また、官公庁・自治体のIT化推進に伴ない、ITコーディネータ資格がCIO補佐官の応募条件であることが多々あり、「職場での経験+ITコーディネータ」を評価しています。

 

 ITコーディネータ資格が、私のビジネスに繋がった実績の一部を紹介します。かっこ数字は実績数です。

  • ITコーディネータ協会
    企業支援のオファーが来ます(6社)
    講演のオファーが来ます(2回)
  • 情報処理推進機構(IPA)
    企業支援のオファーが来ます(2社)
    講演のオファーが来ます(2回)
  • 商工会議所・商工会などの支援機関
    専門家として登録できます(3団体)
    企業支援のオファーが来ます(57社)
    講演のオファーが来ます(16回)
  • IT事業者
    営業支援のオファーが来ます(5社)
    補助金についての企業支援のオファーが来ます(20社)
  • 研修事業者
    研修講師のオファーが来ます(2社)  
  • 企業支援しているNPO法人などのITコーディネータ組織
    会員として登録できます(1団体)
    事業を担います(2回)
    講演を担います(5回)
  • 一般事業者
    企業支援のオファーが来ます(15社)

ITコーディネータ資格を取得するデメリット

 

 ITコーディネータ資格を取得することのデメリットはあまり思いつきません。強いて挙げるとすれば。

 

(1)業務独占資格でない

 

 ITコーディネータ資格者だから特定の業務を実施できるといった法令の定めはありません。したがって、なんらかの人脈づくりや営業活動をおこなうことで「お金を稼ぐための資格」になります。

 

(2)民間資格ゆえの経費支出

 

 ITコーディネータは民間資格ですので、資格取得と維持には相応の経費がかかります。

 資格取得までに約25万円、資格取得後の2年目の更新から更新料が毎年2万円、資格取得後の3年以内にフォローアップ研修の受講料約9万円かかります。

資格取得は意味があるのか

 

 資格の取得には労力もお金もかかります。

 しかし、掛けた労力は自分自身の知識やスキル向上、要するに価値向上します。

 

 お金については、資格取得自体を目的として考えるのではなく、「道具として資格を取る」といった考えに立って行動すれば「お金を稼ぐための資格」として自己投資を回収できます。

 または、資格取得自体が会社の業績に貢献する場合は会社が負担してくれるでしょう。

 

資格を取得することに意味はあります。

  • 将来就きたい職に必要な資格である。
  • 目的を持つことでキャリアアップにつながる。
  • 努力をアピールできる。
  • 仕事の幅が広がり昇進するチャンスが増える。
  • 独立してコンサルタント業務に活かす。
  • 定年後の新たなキャリアに活かす。
  • チャネル獲得への足がかりにする。
  • 自分に自信がつく。

 など、あなたに当てはまるものがあるなら、是非、資格取得すべきです。

 

 以上、ITコーディネータ資格の取得を検討している方の一助になれば嬉しいです。

ITコーディネータのメリットとデメリット