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縄文時代を想う

 

縄文時代は日本の文明の礎である。

 

農耕と牧畜に支えられた四大文明。

いずれも「砂漠と大河の文明」と名づけることができる。

それに対し、日本列島では四大文明に先がけて1万年以上の長期にわたって続いていた「森林と岩清水の文明」であった。

 

 

 

縄文時代、日本列島は一面の森林に覆われていた。

東日本は大体ブナの森の広がり、ほかにナラ、クルミ、落葉広葉樹林に覆われていた。

縄文後期に杉林が拡大した。

西日本には早くから杉林があり、ブナ、ナラが退いて、代わりにカシ、シイ、クスなどの常緑広葉樹林に覆われていた。

 

縄文時代の遺跡の大部分は東日本に集中している。

理由ははっきりしていて、食べ物が豊かだったからだ。

 

森林と岩清水の文明の恵みは1万年をも超える平和な歳月を経て、ある種の共通の文化を形作ってきた。

人々の暮らしの知恵、祭祀のあり方、建物の技術、社会構成、埋葬の形式などに1つの型が生じて、文化的同一性が形成された。

 

海によって大陸から切断された古地理的条件は必ずしも人種の同一性を可能にはしないけれども、生活文化の共通性と連続性を引き起こす可能性は極めて高かった。