データを活用するための仕組みとは

 どのようなビジネスであっても仮説を立てずに始めることはありません。

 ビジネスの現場では、実態と仮説を対比させながら仮説に近づけようと工夫したり、仮説を微調整しながら舵取りをされていることと思います。

 

 この実態と仮説の対比にデータを活用した分析のステップを加えることができるのなら、意思決定のパフォーマンス改善に役立つのではないでしょうか。

 

 この意思決定は、経営者がおこなう意思決定のことだけではありません。

 日々の業務の中での業務上の意思決定、管理上の意思決定も、当然、存在しているのです。

 

 例えば、コンビニエンスストアの商品の発注量を決定しているのは、コンビニ店舗の商品担当です。新しい商品を取り扱うかどうかもコンビニ店舗の裁量です。

 

 コンビニ店舗では、地域の運動会やお祭りなどのイベントや天候などを考え、商品ごとの発注数量を決めています。要するに明日の需要数量を感と経験と本部からのデータに基づき決定しているのです。

 コンビニエンスストアの本部では、各コンビニ店舗から送られてくる明日の需要を統合して把握し、それに基づきメーカーに発注します。

 

 もし、コンビニ店舗が需要を把握することなく、在庫が無くなった時点に本部へ在庫切れの連絡をするだけでしたら、どうでしょうか。本部は、連絡を受けた店舗に在庫がないことを知った結果、過剰在庫を抱える店舗から在庫を補充することを指図したり、メーカーに発注したりするでしょう。そのとき、本部の発注担当はどのようにして発注数量を決めるのでしょうか ・・・・・・・

 

 前者と後者の違いを決定づけているのは、店舗での業務ルールです。

  • 前者は、店舗が需要を見込んだ購買依頼数を決めて、本部に報告する。
  • 後者は、店舗が在庫の無くなったことを確認し、本部に報告する。

 前者と後者の違いは、店舗に意思決定してもらう部分があるか否かです。

 

 前者では、本部は、店舗が購買の依頼数を決めるために必要となる情報を店舗に提供し、一方、店舗の商品担当は、数値化しにくい需要を数値化して購買の依頼数に反映しているのです。

 「需要数を見極める」といった業務を店舗の商品担当が担っています。

 

 データを活用している企業は、

  • 業務上の意思決定を適切な人材がおこなうこと
  • その意思決定者に透明性の高い情報を提供すること
  • 意思決定者が情報活用法を学べるようにすること
  • 意思決定者の情報活用法に期待すること

を業務の仕組みの中に取り入れているように見えます。

 

 この例のように、小さなデータから大きな価値を生み出すこともできるのです。