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内製か外注か、どう見極める?

〜見積時に迷わないための判断ポイントと社内体制づくり〜

内製か外注か、どう見極める?

製造業で受注生産をされている方には、こんなお悩みがあるかもしれません。

 

「この製品、自社で対応すべきか、それとも外注した方がいいのか…」

「作れるけれど、今は人手が足りない」

「毎回バタバタしてしまい、判断が属人的になっている」

 

こんなふうに迷ってしまうこと、ありませんか?

 

じつは、こうしたお悩みは、見積の時点で整理しておくことが大切なポイントです。

 

見積段階で「内製か外製か」の判断ができていれば、

利益のブレを抑えられますし、

納期遅れのリスクも減らせます。

現場が混乱することも少なくなるはずです。

 

では、見積もりの段階で迷わないためには、どんなポイントを意識すればいいのでしょうか?

1. 見積プロセスの中で「外注するかどうか」をどう判断するか?

 

受注生産型の企業では、見積業務が以下のような流れで進むことが多いです。

この中で特に重要なのが、製造できるかどうかの初期検討と、外注の判断です。

 

⏱ 見積業務の基本的な流れ

  1. 顧客からの引合・見積依頼の受領
  2. 製品の仕様や要求条件の確認
  3. 自社での製造可否を検討(技術・負荷・設備)
  4. 必要に応じて、外注するかどうかを判断
  5. 外注先から見積を取得(納期・単価)
  6. 原価・利益のシミュレーション
  7. 金額の決定・社内承認
  8. 見積書を作成・提出

 

🔸ポイント

この中で「3」と「4」が特に重要なポイントです。

 

ここで迷うと、後の流れすべてに影響します。

2. 誰が何をする? 役割を明確にする

 

業務をスムーズに進めるには、「誰が何をするのか」を明確にしておく必要があります。

その整理に役立つのが「RACIチャート(レーシーチャート)」です。

業務ステップ 営業 技術 生産技術・製造 購買 責任者 営業事務
見積依頼の受領 実行          
製品仕様の確認 決定 相談        
製造可否の検討   相談 決定      
外製化の判断     実行 相談    
外注見積の取得       実行    
原価・利益試算 実行   相談   決定  
価格決定・承認 決定       承認  
見積書の作成・提出 実行         相談

 

🔹ポイント

購買や生産技術を見積段階から巻き込むことで、判断が早くなり、現場の負担も減ります。

3. よくある「外製化の判断パターン」と必要な情報

「いつ、どんなときに外注を使うのか?」にはいくつかの典型的なパターンがあります。

以下のように整理しておくと、毎回の判断がスムーズになります。

パターン 判断の着眼点 外注を選ぶ目安 活用シーン 必要な情報・マスタ
技術特殊型 加工が難しいか? 高度な加工 → 外注 特殊な表面処理・研磨など 設備マスタ、加工履歴
キャパ逼迫型 工場に余裕があるか? 工程が満杯 → 外注検討 繁忙期や大量受注時 工程負荷、作業計画
コスト優先型 原価比較で得か? 外注が安ければ外注 汎用品・大量品 単価マスタ、原価試算
品質・認証型 顧客の認証条件は? 外部認証が必要 → 指定外注先 医療・航空など 認証一覧、顧客要求書
工程分担型 設計上の役割分担は? 一部だけ自社で対応 → 外注併用 組立のみ内製など BOM・設計方針
緊急対応型 突発対応が必要か? 応援が必要 → 外注で対応 急な故障・急ぎの受注 異常履歴、協力会社リスト

 

🔸ポイント

こうした判断の「型」を社内に共有し、使う情報をあらかじめ整備しておくと、スピードも精度もアップします。

4. 判断に必要な「情報の整備」もセットで考える

判断は“勘”ではなく、“見える情報”で行う時代です。

以下のようなデータが整っているか、一度棚卸ししてみてください。

  • 設備や技術の一覧(何ができるか)
  • 工場の稼働状況(負荷状況)
  • 外注先ごとの得意分野・納期感・単価感
  • 顧客ごとの要求事項(認証・品質など)

🔹ポイント

これらを社内で「見える化」しておくと、属人的な判断が減り、誰でも判断しやすくなります。

まとめ:外製判断は「仕組み」で早く・正確に

見積時の外製判断をうまく進めるためには、次の3つがポイントです。

  1. 判断の手順と役割を明確にしておくこと
  2. 代表的な判断パターンを整理しておくこと
  3. 判断に必要な情報を見える形で整備しておくこと

この仕組みがあると、現場や営業が迷わず動けるようになり、社長としての判断もスピードアップします。

まずは今回の内容を使って、自社の判断基準と情報整備の状況を一度棚卸ししてみてはいかがでしょうか?