従業員のテレワークで生じる費用の経費計上について
前提として、会社経費の基本的な考え方としては、「事業を行うために必要な費用」は経費、と言えます。
「事業を行うために必要な費用」の生じる場所が従業員の自宅か会社かは問いません。
テレワーク費用の経費計上で問題となるのが、通信費や電気料金のように事業費用と私的利用が一体となっているケースです。
こうした費用は、合理的な基準を設けて会社費用分と私的利用分に区分し、会社費用分について会社経費として計上します。
国税庁が公表している『在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)』のなかで、通信費や水道光熱費に関して、業務のために使用した費用分の算出方法が示されています。
通信費
業務のために使用した基本使用料や通信料等
=従業員が負担した1カ月の基本使用料や通信料等×(該当月の在宅勤務日数/該当月の日数)×50%
電気料金
業務のために使用した基本料金や電気使用料
=従業員が負担した1カ月の基本料金や電気使用料×(業務で使用した部屋の床面積/自宅の床面積)×(該当月の在宅勤務日数/該当月の日数)×50%
在宅勤務手当を支給する義務はあるのか
他方、在宅勤務手当という考え方もあります。
在宅勤務手当を支給する義務はあるのか
そもそも、労働基準法では、在宅勤務手当の支払いは義務ではありません。在宅勤務中でも手当を支給しない企業もありますが、従業員に働きやすい環境を整えてもらうためには、在宅勤務手当の支給が推奨されます。
仕事のための費用と思うと、自腹を切って自宅環境を整備する気持ちがわかないかもしれません。
加えて、普段より生活費が増えると、在宅勤務時のモチベーションが低下する可能性があります。
在宅であっても従業員の生産性を維持するべく、在宅勤務手当の支給は検討の余地があると言えます。
在宅勤務手当は課税されるのか
在宅勤務手当にかかわる課税のルールは、支給方法により変わります。
毎月決まった額を支給する場合は、給与と同じように扱われるため課税対象です。
手当の使いみちは従業員に委ねられ、必ずしも課税分が減収となるわけではありません。
一方、実費分の現金を都度支給する場合は、手当は非課税扱いです。
また、通勤手当は非課税として扱われてます。
それは、実費補填であるためです。
在宅勤務手当の支給方法
在宅勤務手当の支給方法は、大きく2つにわけられます。
職場の状況に応じて支給方法を選びましょう。
現金支給
在宅勤務手当の多くは、現金支給により支払われます。
一般的な支給方法は、給与への上乗せです。
現金支給には、従業員が自由に手当を使えるメリットがあります。
支給例として
- 毎月5,000円の在宅勤務手当
- 「500円×勤務日数」を半年ごとに支給
などがあります。
現物支給
オフィスのような業務環境の維持には、現物支給が向いている企業もあります。
在宅勤務では、必要な機材や道具を従業員が用意せねばなりません。
入手が難しいものがあった場合に、現物支給ならば、必要なものをそのまま従業員に渡せます。
また、手当の使いみちへの心配も不要です。