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デジタル経営を考えるヒントに:ITコーディネータが提唱する成長の流れとは

企業の成長において、ITやデジタル技術の活用はますます欠かせないものとなっています。

とはいえ、「どこから手を付ければいいのか分からない」「何となくIT投資をしているが、効果が見えにくい」といった声もよく耳にします。

 

そうした中、ITと経営の橋渡し役として活躍するITコーディネータの視点が、ヒントになるかもしれません。

デジタル経営を考えるヒントに:ITコーディネータが提唱する成長の流れとは

デジタル経営に必要なのは“成長の見える化”

ビジネスを取り巻く環境が急激に変化する今、

単にITを導入するだけでなく、戦略的に活用する力が求められています。

 

たとえば、以下のような流れをしっかりと整理・見える化しておくことが、企業成長の鍵になります。

 

  • 経営戦略とIT戦略をどう連動させるか
  • その戦略をどのように実行し、成果を測るか
  • 次のステップへどうつなげていくか

 

このような視点を持ちたい方にとって、参考になる考え方のひとつが、ITコーディネータプロセスガイドライン Ver.4.0で示されている枠組みです。

成長サイクルの考え方:3つの構成要素

このガイドラインでは、企業がデジタル活用を通じて成長していく過程を、以下のような3つの要素で整理しています(※ここでは概要のみご紹介します)。

  1. 経営とITを連動させて成長をめざすサイクル
  2. 戦略に基づいた施策を実行し、価値を生み出すサイクル
  3. それらを支える共通の土台(組織、人材、ルールなど)

このような構造を参考にすることで、

「自社は今どの段階にいるのか?」「次に何に取り組むべきか?」といった整理がしやすくなります。

体系的に整理された“プロセス構造”

また、この考え方をより具体的に活用するためのフレームとして、
2つのサイクル、9つのプロセス、6つのアクティビティ、42のタスクという構造が提示されています。

 

このプロセス構造に沿って現状を見直すことで、DX推進に向けたアクションプランの立案や、IT導入の優先順位づけに役立てることができます。

経営とITのつなぎ役としての視点を活用しよう

ITコーディネータが提唱するプロセスの考え方を簡単にご紹介しました。

詳細については、ITコーディネータ協会が提供する公式資料をご参照いただくのがおすすめです。

 

ITやDXに取り組む企業の皆さまにとって、全体像を把握しながら一歩ずつ進めていくための参考になれば幸いです。


プロセス構造について

  • デジタル経営成長サイクル(C1)
    •  変革・成長プロセス(P1)
      •   変革認識アクティビティ(P1-1)
        •    タスク1 現状分析と戦略評価
        •    タスク2 外部環境の変化を認識
        •    タスク3 変革の可能性を発見
        •    タスク4 変革への意思決定

      •   デジタル経営成熟度レベルの向上アクティビティ(P1-2)
        •    タスク1 現状のデジタル経営成熟度の把握
        •    タスク2 デジタル経営成熟度レベルの目標を設定

    •  デジタル経営戦略プロセス(P2)
      •    タスク1 経営環境情報の収集
      •    タスク2 経営環境情報の分析と経営課題の抽出
      •    タスク3 あるべき姿の構築
      •    タスク4 データ・IT利活用方針の定義
      •    タスク5 経営リスク評価・対応
      •    タスク6 デジタル経営戦略策定
      •    タスク7 デジタル経営戦略の展開
      •    タスク8 デジタル経営戦略達成度評価

  • 価値実現サイクル(C2)
    •  デジタル経営実行計画プロセス(P3)
      •   タスク1 目標の理解と詳細化
      •   タスク2 現状業務・システムの調査・分析
      •   タスク3 データとITの調査
      •   タスク4 戦略実現案の検討
      •   タスク5 業務プロセスとIT導入方針の決定
      •   タスク6 評価指標の設計
      •   タスク7 IT資源調達計画
      •   タスク8 開発・導入計画の作成
      •   タスク9 実行計画評価

    •  IT開発・導入プロセス(P4)
      •   IT開発アクティビティ(P4-1)
        •    タスク1 要件の確認と開発・調達の準備
        •    タスク2 調達実施
        •    タスク3 開発による要件の実現
        •    タスク4 テスト

      •   IT導入アクティビティ(P4-2)
        •    タスク1 IT資源配備・展開準備
        •    タスク2 ITシステム導入・利活用開始

    •  価値提供・運用プロセス(P5)
      •   IT利活用による価値の提供アクティビティ(P5-1)
        •    タスク1 価値提供業務の開始
        •    タスク2 価値提供業務の遂行
        •    タスク3 価値提供状況の情報取得・管理
        •    タスク4 価値提供結果の可視化

      •   ITサービス運用アクティビティ(P5-2)
        •    タスク1 サービスレベルの維持運用
        •    タスク2 IT資源、サービスのモニタリング
        •    タスク3 ITシステム、サービスの維持管理
        •    タスク4 システム監査の実行

    •  提供価値検証プロセス(P6)
      •    タスク1 ITサービス利活用の検証
      •    タスク2 業務工程や手順の検証
      •    タスク3 提供価値の検証
      •    タスク4 価値実現サイクル(C2)各プロセスへのフィードバック
      •    タスク5 デジタル経営実行計画プロセス(P3)へのフィードバック

  • デジタル経営共通基盤(CB)
    •  サイクルマネジメント(CB-1)
    •  コミュニケーション(CB-2)
    •  モニタリング&コントロール(CB-3)
    •  セキュリティ(CB-4)
    •  組織学習(CB-5)